アリナさんの特訓成果とドロップさん達の辛い過去

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アリナさんの特訓成果とドロップさん達の辛い過去

ある日の夕方、アリナさんの元に以前お見舞いに来てくれたお友達がいらっしゃいました。その時は名前も思い出せないで謝っていたお友達です。あれから今日までやってきたクイズ大会の成果が表れたのです。  「アリナさん、こんばんわ」と事情をわかっているお友達は笑顔でアリナさんに話しかけていました。なんとアリナさんは笑顔で、「よく来てくれたね、○○さん。いつぶりかしら?」とお友達は泣いて喜び、「アリナさん、お久しぶりね!ずっと会いたかったわ」と和気あいあいとお話始めました。この日は私とアリナさんしかいなかったので、そっとデイルームへと移動。  しばらくすると、アリナさんがデイルームへやってきました。嬉しそうに何かを抱えながら、「あなたと一緒にたべたくてねぇ~良かったら皆さんもどうぞ」って某高級フルーツの箱をジャーン!と効果が聞こえたかのように、テーブルへ乗せて、嬉しそうに丁寧に包装紙をはがして出てきたのは、とても美味しそうなフルーツゼリーでした。   「私じゃ食べきれないので、みんなでたべましょう」  わいわいデイルームで本当に嬉しかったです。楽しそうにお友達とのお話を披露していて、クイズ大会の成果が良い形になって表れたのをとても嬉しく思いながら某高級フルーツゼリーを食べる私なのでした。  季節はめぐり夏になると、怪談やお祭りなどなどイベントは目白押しです。そんな暑い夏の日に、新しくドロップさんが仲間入りしました。なぜドロップさんなのかはこれからお話しする事が関わってきます。  この日は8月15日、日本では終戦日とされる日です。クッキーさん以外の人達が病室に集まっていました。唐突に、戦争当時の話をドロップさんが始めました。皆さんの当時の体験談は、壮絶なもので、ただ黙って聞き手側として、耳を傾けることでしかできません。  ミセス・マリーは、ただシンプルに「私だけ集団疎開して、ただお国のために働いてましたわ」と凛としたいつもの口調でお話してくれました。  アリナさんは、「今日の食べるものがなくてねぇ~道端の草を食べていたら、近所の人が木になってる果物を分けてくれたりした。私は直接被害はなかったけども日本中が貧しかったわね~」と、体を小さくしながら申し訳なさそうに話しています。  そして、ドロップさんは急に涙を流し、「私は満州国から船で命からがら逃げてきました。発砲音が鳴り響く中、悲鳴があちこちから聞こえて、船まで行くのにも沢山の人が死んでいくのを見てきました」と、体を震えながらお話してくれ、皆さんが手を握ったり、背中をさすったりしています。  昨日のご飯を思い出せないアリナさんも戦争の話になると止まらないです。そんなドロップさん達の癒えることのない傷、今もなお世界では戦争が続いている中で、私は後世に語りついでいくことが大事だと感じました。ドロップさんの由来は、このお話でみた涙が忘れられなかったからです。
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