5人が本棚に入れています
本棚に追加
ポケットさんは私の太陽です!
私の大好きなポケットおじいちゃんのお話をしたいと思います。
少し先のお話ですが、今いる部屋から隣の部屋へ移動した直後の事です。車椅子のおじいちゃんがリハビリ病棟へ来ました。かなりの奇行といいますか、病気のせいだと分かっていても皆さん近寄りたがりません。女子トイレや女性部屋に入ってきたりしていました。「違うよ、ここじゃなくてあっちだよ、ポケットさん」と、車椅子を押して、ナースステーションまでご案内。感情が顔に出ず、いつもぼーっとしているポケットさんの笑顔が見たくて私はあることを始めました。
ポケットさんは、いつもナースステーション近くの女性部屋側でぼーっと座っています。私にはとても寂しそうに見えました。そんなポケットさんに私は目線を合わせて、「ポケットさん、おはよう♪」と、毎朝笑顔で声かけしていました。「ポケットさん、今日は晴れだよ!」とか、「ポケットさん、おはよう!今日、寝坊しちゃった」と、無表情のポケットさんに話し続け……どのくらい経ったでしょうか?
私自身も覚えていませんが、「ポケットさん、おはよう♪」と、手を握りながらご挨拶したら、うんうんと頷いてくれました。「おーわかるの?」と話しかけたらスンと、またいつもの表情に戻りました(笑)大きな一歩でした。
これをきっかけに、「おはよう♪」には反応してくれるようになりました。でも、看護師さんやほかの人がやっても無表情みたいで、何故か私だけ反応してくれます。
それから数日後には驚くべきことが起きたんです。奇跡ですね!!「ポケットさん、おはよう♪」と、いつもどおり挨拶して、うんうんと頷いてのパターン。この日は寝坊して急いでたので「ポケットさん、リハビリいってくるね、またね!」そう手を振ったら……ほよほよ~と、お手振り返してくれたんです。
もう感動して大きく手を振ってお返ししました。すごく嬉しかったです。私を見つけると、ヨタヨタと車椅子を動かして、近づいてきてくれようになりました。これをきっかけに、ポケットさんの事を皆さんも間違った行動していると声かけるようになりました。私の目には少し嬉しそうにしているポケットさんがいたように見えます。
その後、ポケットさんは病状があまり良くないのか、元の病棟へ戻っていきました。その数日後、リハビリ終わりにエレベーター近くで、ポケットさんを見かけました。「ポケットさ~ん!!!」と、手を振ったら、ほよほよ~とお手振りしてくれて、担当看護師さんはびっくりしてました。「元気?」の問いかけに、うんうんと頷くポケットさん。
「あっ!今日ね、リハビリで折り紙のお花作ったんだよ!あげる♪」
差し出された折り紙をポケットさんは手を震わせながら受け取ってくれ、服にポケットないのに一生懸命入れようとしてました(笑)
「ポケットさん、その服にポケット無いから落とさないように持っててね」
そう言っても一生懸命ポケットに入れようとする。私も看護師さんも笑いが止まりませんでした。
「はいはい、私が持ってますね」と、看護師さんがポケットに入れて取られたのかと思い、寂しそうにしてました。「ポケットさん、またね」お見送りする私に向かってほよほよ~と、手を振ってくれました。
ポケットさんの由来はここですね。ポケットが無いのに、一生懸命ポケットに私のプレゼントした花の折り紙を入れようとした姿が可愛すぎて印象に残ってます。ポケットさんは私の太陽です。
最初のコメントを投稿しよう!