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地球探査
地球に人間が存在している間は、調査船が飛ばせなかった。
自分たち以外の人間が生きているという絶望を与えてしまうことが一番恐ろしかった。
地球にいる人間たちは自分たちこそが人類最後の生き残りだと思い、そこに生きる目標を見出していたのだから。
まして、月のドームはすでに居住者でいっぱいで、追加で至急ドームの増設をしている所だったので、これ以上の人の移住は無理だったから。救助してくることさえできなかったから。
人間が存在しないことを確認して、月のドームの調査機関は地球に探査船を送ることにした。
研究者たちの他に、元の地球を知っている高齢の夫婦一組を連れて行くことにした。
月を出発して2か月。一般人を乗せていることから宇宙船でのワープなどは行わず、ごくゆっくりと地球に近づいて行った。
そして、地球に降り立った。
とてもたくさんの原爆投下の為建物はほとんどなくなり、がれきの上に死の灰が降り積もっていた。
もちろん外に出ることはできないが、宇宙船のエンジンを止め、外の音が聞こえる状態に調整した。
死の灰は止むことなくしんしんと降り積もる。
がれきに。亡くなった人の上に。残された武器の上に。
誰一人生きているもののない静けさの中で。
昔の地球を知る老夫婦はかつての水にあふれた美しい地球を思って声も出さずに涙した。
もう二度と何者も生き返らないだろう破壊されつくした地球。
調査員たちは皆、言葉もなく、泣き続ける老夫婦を見つめている。
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