Case 6-2:彼女の島 English Ver.

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♪  藤沢でのライブは大成功。  横須賀の『harbor view』にも似ているけど。純粋なライブハウスのためか、客席の幅が狭くてひとまわり小さな印象。  俺が。そして俺達『ひまわり』が一番得意とする環境だ。何度か立ったことのあるステージなのでPAや照明との息もピッタリ。  最前列に用意された柵に凭れるようにして観ていてくれた実花ちゃんも楽しんでくれていた様子。  途中のMCでの、  最近、悲しいお別れがありました。俺はお別れをしなきゃいけない人には必ず、『生きていたら必ず会えるから』と言うんですが。  死んじまったら、二度と会えないんですよね。  でもシゲさん── 先日、突然病気で亡くなってしまった俺の大切な地元の友達とは、たくさんの思い出があります。  俺がいつでも思い出せる、たくさんの思い出をシゲさんとは作ることができました。  みんな知ってます?落とした茶碗が割れるように、俺達っていつ死んでもおかしくない存在なんです。  だからこそ。大好きな人が突然いなくなっても。その空白を少しでも埋められるように。思い出を作れるを大切にしたいんです。  みんな気付いていないと思うけど。みんなの人生で一番若いのはなんだゼ。  だったら、最高なを刻み付けようゼ!  というセージの言葉は、最前列で観ている実花ちゃんへのメッセージのように感じた。  大切な人を亡くしても、その思い出で心を一杯にして前を向いて歩いて行かなければいけない。  をしているセージだからこそ言える、重たい言葉だ。ちゃんと実花ちゃんに届いているといいのだけど。  そんなセージは、珍しく酒を1滴も飲まずに。ライブが終わると打上げにも参加せず、俺達『ひまわり』はそそくさとハコを退散してきた。  なんでも実花ちゃんを、ちゃんと自宅まで送り届けるそうだ。なので、近所である俺とリュウも行動を共にする。  そのまま電車に乗り続けるトールとマリーちゃん。それに、横浜で京急に乗り換えて帰る。と言って聞かないいも子ちゃんを東海道線に残し。  俺達4人は大船駅で横須賀線に乗り換える。
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