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 柚は目を覚ました。 「ここは……?」  立ち上がろうとして立ち上がれず、前につんのめりそうになる。  柚は椅子の背もたれに縛られていた。  周りを見渡すとカウンターがあり、高級そうなお酒のボトルが並んでいる。オシャレなバーの店内だった。 「目を覚ましましたか」  オーナーの矢崎が店の奥から現れた。後ろにモヒカン男も従えている。  ここは矢崎が経営するバー『バタフライ』の店内だった。 「あなたたち!」 「失礼、あの公園では目立つのでね。店まで来て貰いました」 「運ぶの大変だったんだぞ」 「私を攫ってなにをしようって言うの?」 「聞きたいことがあるだけです。警察はどこまで知っているんですか?」 「知ってるって……」  ーーなにも知らない。  言いかけて柚はやめた。刑事と知って自分のことを攫ったのだから、こいつらはそれ相応の覚悟があるのだろう。何も知らないとバレたら殺される。
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