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「どうして?」
「約束があるんです」
「約束?」
「今度、宇堂センパイにチャーハンを作るって」
「な、何を言って……?!」
その答えは想定外だったのだろう。余裕だった表情に初めて戸惑いが現れる。
柚はその隙をついてキッと顔を上げると最後の力を振り絞って秋堵に向かってタックルに近い低い体勢で体当たりした。
体力的には秋堵の方が体も細く弱々しい。
このまま組みついて押し倒してしまえば、警察学校で格闘術を習った柚の方が有利だと思われた。
しかし柚はハッと気づいた。
それは秋堵の方も分かっているはずだ。
なのに丸腰で現れたということは、こうなることを〝予測〟して何かを隠し持っているということだ。
「フッ……」
秋堵は口元だけで笑った。
案の定、その手にはいつの間にかスタンガンが握られていた。バチバチと電気スパークが走る。
「……!!」
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