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「あれは……」
記憶を探る。確か遺体の第一発見者である会員制バー『バタフライ』のオーナーだ。
名前は矢崎。そう聞いていた。
しかしどうして?
意外な組み合わせが気になり、柚はふたりを尾行することにした。
モヒカン男と矢崎は、遊具のある広場から公園の奥へと向かった。
奥に入ると都会とは思えないほど自然豊かな公園で木々が生い茂っている。道を外れて少し茂みに入ると人気もない。耳をすませば、遠くで子供たちが遊ぶ声がかすかに聞こえる程度だった。
柚は身を低くして出来るだけ二人に近づく。
声が聞こえてきた。
「こっちにもサツが来たぜ。でもシラを切ってやったから大丈夫だ。サトシンとアンタの関係に向こうは気づいていない」
「まったくサトシンも困ったものです。まさかデブリが当たって死ぬなんて。おかげでヤクの取引のことがバレるかとヒヤヒヤでしたよ」
「まあ、大丈夫だろう。あれは事故ということでたいした捜査もされていないみたいだし」
「それでサトシンの代わりはアナタでいいんですね。うちの客はセレブが多い。上物じゃないと買いませんよ」
「ああ、大丈夫だ。俺がちゃんと調達して届ける。お金は足がつかないように現金で直接……」
「ええ、サトシンのときと同じように取引は店の裏口で……」
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