38人が本棚に入れています
本棚に追加
「こ、こいつ!」
「誰です、この女は?」
矢崎が聞いた。
「サツですよ、尾行してたのか?」
「あ、いえ、その……」
剣呑な顔つきの二人に詰め寄られ、柚は後退った。その背中は大きな木の幹に当たってしまう。それでも木の幹を回り込んで逃げようとするが、モヒカン男に手首を掴まれてしまった。
「は、はなしなさい!」
柚は暴れて抵抗した。
「うるせぇ、大人しくしろ!!」
怒声と共に柚の鳩尾にモヒカン男の拳がめり込んだ。
「うっ……」
柚は短いうめき声を上げ、意識を失った。
※ ※ ※
夕刻。遊んでいた子供たちも帰り始め、閑散とした公園の広場に宇堂はやって来た。手分けして聞き込みをしてここで待ち合わせのはずだった。
しかし柚は現れない。
聞き込みに不満を持っていたようだし、帰ってしまったのだろうか?
宇堂は柚のスマホに電話をしてみる。
電源が切られているのか繋がらなかった。
「……」
宇堂はぎゅっと唇を引き結び険しい表情を浮かべた。
最初のコメントを投稿しよう!