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「こ、こいつ!」 「誰です、この女は?」  矢崎が聞いた。 「サツですよ、尾行してたのか?」 「あ、いえ、その……」  剣呑な顔つきの二人に詰め寄られ、柚は後退った。その背中は大きな木の幹に当たってしまう。それでも木の幹を回り込んで逃げようとするが、モヒカン男に手首を掴まれてしまった。 「は、はなしなさい!」  柚は暴れて抵抗した。 「うるせぇ、大人しくしろ!!」  怒声と共に柚の鳩尾にモヒカン男の拳がめり込んだ。 「うっ……」  柚は短いうめき声を上げ、意識を失った。    ※ ※ ※  夕刻。遊んでいた子供たちも帰り始め、閑散とした公園の広場に宇堂はやって来た。手分けして聞き込みをしてここで待ち合わせのはずだった。  しかし柚は現れない。  聞き込みに不満を持っていたようだし、帰ってしまったのだろうか?  宇堂は柚のスマホに電話をしてみる。  電源が切られているのか繋がらなかった。 「……」  宇堂はぎゅっと唇を引き結び険しい表情を浮かべた。
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