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   ※ ※ ※ 『バタフライ』の店内では柚が焦っていた。  宇堂とのやり取りで矢崎たちは警察が何も掴んでいないことを知ってしまった。  柚を生かしておく必要はもうない。むしろ早く口を封じるために処分してしまった方がいいと考えるだろう。  矢崎とモヒカン男は椅子に縛られている柚を冷たい目で見下ろしていた。 「さてこいつをどうする?」 「死んでもらうしかないでしょうね」 「そうだな」  ナイフを手にしたモヒカン男は口元に残忍な笑みを浮かべた。 「や、やめなさい! そんなことしても罪が重くなるだけよ」  柚はそう言って椅子の上でもがくが、縛られているのでどうすることもできない。もはや覚悟を決めるしかないようだ。柚は目をぎゅっと閉じた。 「大丈夫、できるだけ苦しまないようにしてやるよ」  モヒカン男はナイフを振り上げた。  だがそのとき、店の裏の方でガラスが割れるガシャンという大きな音がした。
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