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 宇宙空間に〝それ〟は漂っていた。  眼下には黒い地球が見えている。太陽光の当たらぬ夜側の地球だ。ちょうどアジア各国の都市の灯りが宝石のようにキラキラと輝いて見えていた。 〝それ〟はたくさんあった。  もとはひとつだったが、バラバラになってしまった。  地球の重力に引っ張られているため、〝それ〟はどこか遠くへ飛んでいくことはできない。バラバラになったあともひとつの集合体として、長い間、地球の周回軌道を回り続けていた。  ところがその中のひとつが不意に軌道を外れた。  大気圏へ突入する。  とはいえ、危険はない。  地上に落ちる前に燃え尽きるはずだった。  ましてや〝それ〟が、人に当たるなんてことはあり得ない。  そう……、あり得ない……。  ある訳が無い    ある訳が……。  でも……。  ——青い風船を……。
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