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「な、なんだ?!」  想定外の出来事に矢崎もモヒカン男も音がした店の奥を振り返った。  間髪入れず、そこから宇堂が飛び込んできた。  どうやら裏口の窓ガラスを叩き割って店に突入してきたようだ。 「宇堂センパイ!」 「柚、大丈夫だったか?」 「はい!」  柚は元気よく答えた。  宇堂はそれに頷くと、矢崎とモヒカン男の方に向き直って言った。 「やはりな。オーナーと街のチンピラは繋がっていたか」 「どうして分かったのです?」 「簡単なことだ。さっきアンタが被害者のことをサトシンと呼んでいた。サトシンというのは仲間内しか知らない呼び名だろう」 「……っ! そうでした。迂闊でした」  矢崎は自分の口が災いしたことを知り、がっくりと項垂れた。もう言い逃れできない。観念していた。  だがモヒカン男の方は諦めが悪かった。
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