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   ※ ※ ※  この世は不確かなことだらけだ。  朝起きたとき、今日起こることを完全に予測することはできない。  想定外のことは常に起きてしまうもの。  それなのに人は期待してしまう。  今日という日が予定通り進むことを。  あの日の私もそうだった。  久しぶりの休暇に私は息子のシュンとショッピングモールに行った。大型遊具もあるキッズスペースで思いっきり遊ばせ、フードコートで食事をした。食後は上機嫌のシュンを連れ、ちょっと買い物をして家に帰る予定だった。  食事を終えてフードコートを出ると、中央の噴水広場に風船売りがいた。色とりどりの風船がぷかぷかと浮いている。シュンを見ると、目がその風船に釘付けになっていた。 「欲しい?」  私が聞くと、シュンは弾むように頷いた。  風船なら買い物中でもそれほど邪魔にはならないだろう。  私は風船を買ってあげることにした。
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