私、毒婦なんです

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「あの、エンは?」 とメディフィスの侍女たちに見習いのように混ざっていたアッサンドラの若い侍女に訊く。  すると、彼女は苦笑いして言ってきた。 「あ、忘れ物があった、と言って、戻ってきたバルト様に連れ去られました」  兄よ……。  私の心の支えになってくれそうな人を、と思ったが。  まあ、野暮は言うまい、とも思う。  なんだかんだであの二人は仲良しだ。  侍女たちが頭を下げて出て行った。  やがて、訪れなくてもいいのに、ジンが部屋を訪れる。 「……元気か、アローナ」  そうジンは訊いてきた。  いや、さっき別れたばかりですけどね。
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