そして、また夜がやってきた

1/13
前へ
/358ページ
次へ

そして、また夜がやってきた

 アローナは寝台の上で膝を抱えていた。  また夜が来てしまったようだ。  今夜はどうすれば、と思った瞬間、いきなり扉が開いて、ジンが入ってくる。 「今日はどうした。  なにか考えついたか、アサギマダラ」  それ、私の名前じゃありません、と思いながら、アローナは寝台の上から、すがるようにジンを見た。 「それがなにも思いつかないんですよ~。  考えてください、ジン様」 「……俺がか」  意味がわからんが、と言いながら、ジンは寝台に腰掛ける。  ジンの重みで少し寝台が軋んで下がっただけで、なんとなく強張ってしまう。  そんなアローナを見て、ジンが笑った。
/358ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1221人が本棚に入れています
本棚に追加