そして、また夜がやってきた

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「なかなか式ができなくてすまんな。  もう少し国が落ち着かないとな。  追いやった父も相変わらずだし」  は、はあ、と言いながら、見つめないでくださいっ、そんな間近でっ、と逃げ腰になるアローナにジンは訊いてきた。 「ところで、何故お前は、そんなに往生際悪く抵抗しようとするのだ。  国に誰か好きな男でもいたのか」 「いいえ」 「ならば、私が好みの男ではないのか」 「いいえ」  ジンは沈黙した。 「……お前が私に抵抗する、その理由はなんだ?」 「なんなんでしょうね……?」  そういえばない。  よく考えれば、抵抗する理由など何処にもなかった。  美しい瞳と髪に、厚い胸板。  若さと知性溢れる美貌。 「想像していた未来と違いすぎて、ついていけてないだけなのかもしれません」 とアローナは素直に胸の内を吐露する。
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