そして、また夜がやってきた

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「ジン様。  今宵は物語でも読み聞かせましょうか。  私でも読める言語の本があったので」 「読んだ」  昼間図書館で、読み聞かせによさそうな本をせっかく探してきたのに、ジンはアローナが最後まで言わないうちに、本のタイトルだけ見て、そう言ってくる。 「読んだな、その本」 「では、こちらを」 とくすんだ金のような色の厚い本をアローナは出してきたが、ジンはまた、 「読んだ」 と言う。 「では、こ……」 「読んだ」  今度は出す前に言われた。
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