そして、また夜がやってきた

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 ジンはアローナがサイドテーブルに積んでいた本を見、 「うちの図書館から持ってきたんだろ。  読んでるに決まってる」 と言う。 「えっ。  あの蔵書をすべて読まれたのですか?」 「すべてではない。  三分の一は読んだ。  物語の類はみな読んだので、なにを持ってきても無駄だ」  ええーっ、とアローナは眉をひそめる。 「だがまあ、取りこぼしもあるかもしれないから、お前は私の読んだ本ばかり持ってきたということになるな。  我々の趣味嗜好(しゅみしこう)が似ているということだろうか」 とジンが言うので、 「じゃあ、今度は裁縫か、料理の本でも持ってきます~」 と力なく言ったのだが、 「そういうのも読んだ」 とトドメを刺される。  もう~っ、と思うアローナの前で、ジンは楽しげに笑っている。
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