そして、また夜がやってきた

8/13
前へ
/358ページ
次へ
 幾重にも重ねられた枕に背を預けたジンは目を閉じ、言う。 「死ぬまでには全部読みたいかなと思うんだが。  年々、本は増えていくからな。  人生、三回くらいやったら、全部読めるかもな」 「人生三回ですか」 とアローナは呟いた。  今生では長い人生を共にしようと言われたが、生まれ変わったら、きっと一緒じゃないんだろうな。  仕方なくもらった人質の花嫁だもんな。  そう思いながら、アローナはジンの顔を見る。  そのまま黙っているジンに、寝てしまったのだろうかな、とアローナは思った。  お疲れだもんな、とアローナはジンの身体に夜具をかけてやる。  ……それはいいんだが、私は何処で寝ればいいんだろう?  アローナは周囲を見回した。
/358ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1221人が本棚に入れています
本棚に追加