そして、また夜がやってきた

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 父は暇なので、戦をすると言っていた。  いずれお前にもわかる。  王というのは暇なものなのだと。  衣食住の心配をすることのない地位にいると、戦でもしてみようかという気になるのだと。  父上。  あなたのような王にはなるまい。  ずっとそう思い、生きてきましたが。  私の中に流れるあなたの血が不安でした。  でも、今なら断言できます。  私は絶対にあなたのように、暇だからといって、(いくさ)をするような王にはならないでしょう。  そこで、ジンは気持ちよさそうに眠っているアローナの寝顔を見つめて笑う。  この次々騒ぎを起こしてくれる人質姫のお陰で、一生退屈などしなさそうだから。  そう思いながら。
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