また、夜が来ました……

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 まあ、こんな板ごとき、パッと手で払って、押し倒せばすむだけの話なんだが。  そう思いはしたが、真剣な顔でガラス玉を手に盤上を見つめるアローナがおかしく、黙ってゲームに付き合ってやった。  すると、 「ああ~、負けました。  最近やってないジン様になら勝てるかと思ったのですが」 「あああ~、また負けました。  何故ですか。  貴方の手はすべて読んだはずなのに」 「ああああ~っ。  なんでなんですか、もう一回~っ」 と呟きながら、何度もアローナは勝手にゲームを始める。 「……お前、もしかして、俺の気をそらそうとしているんじゃなくて、本気で勝ちたいだけか」  きっと昼間、ゲームを教えてくれた侍女たちにズタポロに負けたんだろうな、とジンは思った。
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