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「子どもの頃、よく調理場に遊びに行っていたんです。
おやつくれるから」
と言って、
「……どんな王女だ」
と言われる。
いやいや、虫歯になるからとおやつ制限されてたからですよ、と思いながら、アローナは言った。
「それで、料理人たちが面白がって、新米に覚えさせる歌を私にも覚えさせたんですよ」
陽気なリズムで歌いやすいので、子どもの頃からよく歌っている。
今でも一番得意な歌だ。
「呑気な城だな。
だから、父上などにいいようにされたんだ」
「……はい」
とアローナはそのときだけ、神妙な顔をした。
まあ、ジンの父の軍が来たときに、父は、すぐにアローナを差し出すことと、高い税を納めることを約束したので、民たちに被害は出なかったのだが。
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