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フェルナンはシャナがカーヌーンを弾き、アローナが美しい歌声を披露したところで、よしよし、と思って寝室の前から去ったようだった。
まあ、アローナが歌っていたのは、調味料の順番だったので、そもそもが雰囲気に欠ける歌ではあったのだが。
彼女はアッサンドラの言葉で歌っていたので、そこは意識的にスルーすれば、スルーできないこともなかっただろう。
「フェルナン様。
フェルナン様はアローナ様が王の妃になったので、よろしいのですか?」
そう訊くと、腕組みしたフェルナンは渋い顔をしながらも言ってきた。
「いいも悪いもない。
珍しく王が気に入られた姫なのだから。
前王があのような方だったので、あの父親を反面教師として、ジン様は王にしては身綺麗すぎるくらい身綺麗に生きて来られた。
なので、もしや、このまま妃は娶らないとか言い出されるのではと、ちょっと怖かったのだ。
前王のとき、後宮のみなが気の多い王様の気をなんとか引こうと、陰謀渦巻いて大変だったのも、ずっと見てこられてたしな。
そんな王が今はご自分からアローナ様を欲しておられる。
ちょっと変わった姫だが、刺客から王を守ってくれたり、私の悩みも解決してくださったりする。
私としては、このまま上手く式まで持ち込めればと思っているのだが」
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