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「でもフェルナン様は、ずっとアローナ様を娼婦だと思ってロクでもない態度をとってらっしゃましたよね?
アローナ様に根に持たれているかもしれませんが、よろしいのですか?」
「……知らなかったんだから、仕方ないだろう」
「わたくし、あーあ、と思いながら、見ておりました」
と白状すると、
「お前は最初からアローナ様がアッサンドラの姫だと知っていたのか」
とフェルナンは責めるように言ってくる。
「はい」
「いや、教えろよ……」
「いえいえ。
わたくし、殺し屋として潜んでおりましたので、教えられるわけないじゃないですか」
っていうか、そのような義理もありません、と言うと、フェルナンは無言でこちらを見たあとで、
「お前、明日から警備の方に回してやろうかと思っていたが、厨房に戻るか」
と脅してくる。
「あ、その件でしたら、もう大丈夫です。
わたくし、先程、正式に王に雇われまして」
「暗殺者としてか?」
とフェルナンが驚く。
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