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「王は、ついに前王を殺されるのか?
それとも、小賢しいアハト様を?
あるいは、食事を残すと、いちいち小言を言ってくる料理長を?」
「いやそれ、あなたが始末したい相手ですよね?」
と確認したあとで、シャナは言う。
「違います。
私は暗殺者としてではなく、間者として雇われたのです。
前王の様子を見て来いと。
アローナ様を差し出すよう、前王が言われているようですね」
ジンの腹心の部下であるフェルナンになら言ってもよいだろうと思い、そう告げると、うむ、と頷き、フェルナンは眉をひそめた。
「前王は困った方なのだ。
強い王かもしれないが、あのような方が支配する国では民は幸せにはなれない。
ジン様は強く賢いが、人の良いところがあるので。
もしかしたら、他国から舐められる部分もあるかもしれない。
だが、国民はジン様の方を支持している」
だから、これで良いのだ、とフェルナンは言い切った。
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