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王の寝所に連れてこられました
白い石でできた床と壁。
真っ白なシーツに天蓋つきの寝所。
湯の流れ続ける湯浴みをする場所まである。
南国の艶やかな花が白く滑らかな石の湯船の縁を彩り、その濃密な香りが部屋全体に漂っていた。
むせ返るような香りで目眩がするな、と思いながら、しばらく、部屋のど真ん中にどうしていいかわからず立っていたが。
誰も来ないので、湯に手をつけてみたり、ぼうっとしてみたりしたあとで、寝台に腰掛ける。
……何故、こんなことに、と思いながら。
ともかく、早く此処の文字を覚えなければ、意思の疎通ができないと思ったアローナは、本を探し回る。
だが、本は最初に腰を落ち着けた寝台のサイドテーブルの下にあった。
無駄な時間を過ごしてしまった……と思いながら、本を広げる。
ところどころ見たことのある綴りもあったが、大部分がわからない。
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