自らフリダシに戻ってみました

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「なんか落ち着く味です」 とこの間とは違い、立派な食器に入った粥を食べながら言ったが、エメリアは、なんでそっちがいいの、というように小首を傾げていた。 「家庭の味っぽいからかしらね。  でも、あんたそれ、拉致されて薬飲まされたあと、此処で食べたんでしょう?  嫌な記憶とか思い出さないの?」  面白い子ね、とエメリアに言われる。 「で? まんまと脱出できたこの娼館に、なにしに来たの?」 「いやそれが、急に前王ではなく、ジン様に嫁ぐことになりまして」  迷っているのです、とアローナは言った。 「怒涛の展開で、ちょっとついていけてなくて。  自分がジン様を好きかどうかもよくわかりませんし」 「好きだろうが、好きじゃなかろうが、嫁ぐしかないんじゃない?  結婚なんて、そんなものでしょ?  私は此処に来たけど、姉たちは金持ちのところに嫁に行かされたわ。  もちろん、正妻じゃないけどね」  まあ、そんなもんだよな。  特に王室なんかだと。  好きで結婚するなんて、滅多にあることではないから。  そもそも自分では拒否することすらできない結婚だったはずなのに。  駄々をこねたら許してくれそうなジン様が花婿に変わったので、ちょっと迷ってみたりしているだけなのだろうか。  私、ジン様に甘えているのかもしれないな……とアローナは思う。
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