自らフリダシに戻ってみました

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「で、なんでその話でうちに来るのよ」 とエメリアがそこで訊いてきた。 「いえいえ。  此処は男女関係のプロだと侍女たちが申しておりましたので」 「……違うことのプロよ。  それに、そういう話なら、私に相談しても駄目よ」 とエメリアは言う。 「何故ですか?」 「私は売り物だから恋はしないの。  というか、自分を高く売りたいから、恋はしないようにしているの。  一人の男に縛られて、仕事を疎かにしたくはないの。  だから、心は誰より箱入りよ」  はあ、そういうものなんですかね……とアローナが思ったとき、下が騒がしくなった。 「なにかしら?」 と立ち上がったエメリアが一旦、扉の向こうに消える。  扉の前には護衛がいるようだったが。  話の邪魔をしないよう、中には誰もいなかった。  アローナが後ろの黄金の像を見ながら、つややかな果物ののった焼き菓子とこの砂漠では珍しい冷たい果汁の飲み物を飲んでいると、エメリアが戻ってきた。  扉の前で、にやりと笑って言う。
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