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「ほう。
アハトが護衛とは、これはまた豪勢なことだな」
用意された酒宴の席で、アローナはレオの隣に座らされていた。
アリアナに金を請求されていたせいで、隠れそびれたアハトも一緒に。
いえいえ。
はあはあ、まあまあ、とアハトはよくわからないことを言って、ジンのために、アローナについて此処に来たことを誤魔化そうとしている。
そういえば、アハト様は、もともとレオ様の重臣で、どちらかと言えば、ジン様の反対勢力だったのでは……。
「……ジンの評判は良くもあり、悪くもありだが。
お前のような計算高いやつがジンにつくとは。
ジンにも少しは見所があるということかな」
と言うレオに黒地に金の装飾の酒壺から酒を注ぎながら、アローナは問うた。
「ジン様の悪い評判とはなんですか?」
「人が良すぎるということだ」
「王様は人が良すぎては駄目なのですか?」
レオはチラとアローナを見、
「お前の父親のように、民を傷つけまいとして。
戦ってみもせずに、娘を差し出すハメになったりするだろうが」
と言ってくる。
うっ。
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