1217人が本棚に入れています
本棚に追加
/358ページ
「やさしすぎると家族も守れない。
そして、結果的に民も守れないこともある。
ジンは私に比べて温厚だということは、商人たちを通じて各国に広がっていくことだろうよ」
奴らの情報網はすごいからな、と言う。
「今だとばかりに反旗をひるがえして、上に立とうとする同盟国も出てくるやもしれぬ。
王は冷酷すぎるくらい冷酷でなければ。
そして、そういう噂が近隣諸国に轟くくらいでなければ、ほんとうの意味で国を守ることはできんのだ。
まあ、民はジンの方を支持しているようだが。
何処かの国に攻め込まれれば、いずれ考えも変わるだろう。
そもそも、私を殺していない時点で、ジンは甘い」
「そうかもしれませんが……。
私は、そんなジン様の方が好きですね」
「ほほう。
お前は、ジンにベタ惚れなわけだな」
「いっ、いえっ。
そういうわけではないのですがっ」
「レオ様」
とアハトがレオの前に進み出る。
最初のコメントを投稿しよう!