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「やはり、それは無理ですね。
私はジン様に仕えているのではありません。
アローナ様に仕えているのですから」
えっ? そうだったのか?
と思ったとき、レオが笑い出した。
「なるほど。
ジンよりこの娘の方が見所があるというわけだな」
「さようで」
それは愉快だ、と言ってレオは酒を呑む。
そこに、他の酒宴から戻ってきた、とびきり上等な娼婦たちが現れたが、
「いや、今日はよい」
と言って、レオは返してしまった。
「面白い出し物を見られたから、満足だ」
いや、出し物はなにもしてませんけどね、と思ったとき、レオはこちらを向き、
「アローナよ。
ついでに、なにか芸事でもして、私を楽しませろ。
今日はそれで帰ってやろう。
見事であったら、しばらくジンには手出しをすまい」
と言ってくる。
「わかりました。
では、カーヌーンを」
アローナの言葉に、ひっ、とアハトが息を呑む。
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