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「あと、シャナは男だとバレてます」
「やはり、あの女好きの父は騙されなかったか。
まあ、シャナはああ見えて腕が立つから殺されはしないだろうが」
「お父様、それも面白がられてるみたいなので、そのままシャナを置いてくださるんじゃないですかね?」
何事も起こりそうにないので、シャナの方が飽きて帰ってきそうですね、と言ったのだが。
「スパイに入ってても、やることは普通のことだろう。
スパイが飽きずに楽しいという事態になることこそ、最悪だ」
とジンは言う。
まあ、それはごもっとも、と思ったとき、
「……父にはなにもされなかったか」
とジンが訊きにくそうに訊いてきた。
「カーヌーンを弾いて歌っただけか」
「はい。
それと、酌をしただけです」
と言うと、何故かジンは悔しがる。
「お前、私には酌をしてくれないじゃないかっ。
私はしてやってるがっ」
「……し、しましょうか」
とアローナは慌てて、そこにあった酒瓶を手に取った。
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