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「私の名はジンだ。
見たところ、異国の女のようだから、この国の事情はよく知らないかもしれないが。
国民が父王の悪政に耐えかねていたので、先日、私が父を追い落とし、王となったのだ。
父には王宮から出て隠居してもらっている」
そ、そうだったのですか……。
「娘よ。
名はなんという。
ああ、しゃべれぬのだったな」
アローナです。
ア・ロー・ナ、と口を大きく開けて教えようとするが、じっと見ていたジンは、
「わからぬ」
と言う。
いやいや、わかってください。
アローナはジンが注目してくれるように、おのれの唇を指差し、ア・ロー・ナと言おうとした。
だが、いきなりその唇を塞がれる。
そのまま寝台に押し倒された。
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