娼館でなにか学んできたのか?

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 媚もなにも一切なく、くかーっと気持ちよそうにアローナは寝ている。  なにかホッとする顔なんだよな。  陰謀とか策略とか、そんなものから、もっとも遠い場所にあるような。  だから、アローナの側にいるだけで、なにもせずとも結構幸せなんだが……。  そう思いながらも、ジンはアローナのその白く丸い額にそっと口づけてみた。  だが、額になにかが触れたからか。  アローナは寝ぼけたまま、猫が顔を洗うように、こしこしとおでこを(こす)りはじめる。  (ぬぐ)うなっ。  ……しかし、このまま此処にいたら、朝まで、なにもしない自信はないな。  そうジンは思ったのだが。  出ようとした扉には鍵がかけられていた。 「こらーっ」 「今夜はそこでおやすみくださいーっ」 と扉の向こうからフェルナンが叫んでくる。
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