1216人が本棚に入れています
本棚に追加
/358ページ
「いや、なんでもない」
と言いながら、ジンは床に敷いていた飾り布をたたみ直し、椅子にかけ直していた。
躾の良い王様だな……。
王様なんだから、召使いを呼びつけてやらせそうなものなのに、と思いながらアローナは言う。
「それにしても、床でおやすみになられるなんて、お身体壊されますよ。
一緒に寝台に横になられたらよかったのに」
すると、ジンは驚いたように身を乗り出し、
「良いのかっ?」
と訊いてくる。
「はあ、良いです」
とアローナは答える。
「私など隅の方にポイと押しやるか、ソファに移動してくださって。
ジン様が寝台で、おやすみになればよろしかったのに」
だが、ジンは、
「……いや、お前のいないお前の寝台になんの意味があるのだ」
と言ってきた。
そのとき、すったもんだ揉めたあと、箱の上に投げていたあのセクシーな衣装がジンの目に入ったようだった。
最初のコメントを投稿しよう!