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まだ世も明けきらぬころ、フェルナンはジンたちのいる部屋の扉の前にしゃがみ、うつらうつらとしていた。
非常時の見張りなら、こんなことはないのだが。
ある意味、どうでもいいジンとアローナの閨の見張りだ。
独り身の男がやって楽しいことではない。
もっともそんなことを重臣たちに聞かれれば、
「お世継ぎに関わる問題だぞっ。
なにがどうでもいいなんだっ」
と怒られるところだろうが。
いきなり扉が開いて、ごすっと背中に当たる。
振り返ったフェルナンは眠い目をこすりながら訊いた。
「……ジン様、首尾よく行かれましたか?
ご機嫌ですが」
「うむ。
今朝はいい朝だな」
とジンは大層爽やかな顔をしていた。
「ほう。
ついに、アローナ様と真の意味でご夫婦に?」
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