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ひーっ。
ジンはその美しい黒い瞳で間近にアローナを見つめて言ってくる。
「娼婦の相手などしたことはないが。
お前はなんだか可愛らしいな。
なにもしないのもお前とアハトに悪いだろう」
いやいや。
なにもしてくださらなくて、結構なんですけどっ、とアローナはジンの額に手をやり、押し返そうとした。
ほう、とジンは感心したように頷く。
「そうして一度、抵抗して見せるのも娼館仕込みが。
……なるほど、燃えるな」
燃えないでくださいっ。
鎮火してっ。
「おとなしくしろ。
抵抗するな」
とジンに両の手首を押さえ込まれる。
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