1216人が本棚に入れています
本棚に追加
/358ページ
アハトの話を聞きながら、まあ、その可能性はあるな、とジンは思っていた。
そのとき、アハトが、
「ところで、昨夜、王がアローナ様の寝室に閉じ込められていたという話ですが」
と話を蒸し返しはじめた。
やはり、先程、フェルナンと揉めていてたのを聞いていたのか。
アハトは今や、アローナを押せ押せ状態だ。
アローナが妃となり、自分が寵愛すれば、彼女を連れてきたおのれの地位も上がると思っているようだった。
叱られるだろうか……とジンは怯える。
まだアローナに手を出していないことで。
昔、矢の練習をしていてアハトの鼻先すれすれに矢が突き刺さったとき、アハトは笑顔でこちらを向いた。
あのときと同じ恐怖を感じながら、ジンが身構えたとき、アハトが言った。
最初のコメントを投稿しよう!