王の寝所に連れてこられました

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「そういう男を誘うような素振りはもうよい。  今、王位を継いだばかりで、朝も昼も夜も忙しいのだ。  娼婦の駆け引きに付き合っている時間はない」  駆け引きじゃなくて、本気ですっ、とアローナが上に乗ってくるジンを押し返そうとしたとき、 「王っ! ジン様っ」 と扉の外から声がした。  あの騎士のもののようだった。 「大変ですっ。  アッサンドラ国から前王の許にお輿入れされる予定だったアローナ姫が突如、行方不明に!」  ジンが起き、扉を開ける。  騎士は衣の乱れたアローナをチラと見たが、すぐに視線をそらし、ジンに報告した。 「まだ姫に付き添っていた一団が到着していないので、詳しいことはわからぬのですが。  どうもアローナ姫は旅の途中、忽然(こつぜん)と姿を消してしまわれたようで――」 「神隠しか……?」 とジンが(いぶか)しげに呟く。
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