恐ろしき国、アッサンドラ

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「ジン様のためか。  或いは、いずれ自分が返り咲くときのために、メディフィスを守りたいだけなのか。  でもまあ……息子のためかな、とは思いますけど。  息子があれだけ甘いってことは、父親も実は、そうなんじゃないかなーと思うので」  そうアローナが言ったとき、アハトが不敵に笑って言ってきた。 「……私はほんとうに運がいいようですよ」 「え?」 「たまたま娼館であなたを買って、王に贈った。  それがこんな形であなたに恩返ししてもらうようになるとは」 とアハトは喜ぶ。 「私には見えます。  あなたが賢い妃となり、王を支え、お世継ぎをお産みになる姿がっ。  そして、私がそのお世継ぎの後見人となり、宮殿で権勢を誇る未来がっ」  いや、結局、そこですか……とアローナは苦笑いする。
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