自分探しの旅に出たい

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   しゃかしゃかと逃亡していたアローナは裏通りに入る。  すると、なんの肉なのか一目でわかってしまう感じに、大胆に肉がぶら下がっている肉屋の前で、砂漠の民っぽい装いの男たちに出会ってしまった。 「お?  売ったはずの娘ではないか」 と背の高いリーダー格らしい若い男がアローナに言う。  アローナを砂漠で拉致して売った盗賊団様御一行だった。  あのときは顔を見られないようにか、頭から布を被っていたのでよくわからなかったが。  (かしら)は浅黒い肌をした、整った顔の男だった。 「あの娼館から逃げ(おお)せるとは思えない。  売られた先で、お役御免になったのか?  見た目だけのダメな奴だったか……」 と何故か自分を売った男にダメ出しされる。 「あ、あの節はどうも。  失礼しますっ」 とアローナは適当なことを言って逃げようとしたが、 「待て」 と案の定、首根っこを捕まえられた。
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