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「あ、あの~、もう一度、売るのなら、あの娼館にしてください」
エメリアたちのいる娼館なら、なんとかなると思ったのだ。
だが、
「同じ奴を二度も持ってけるか。
お前が言うように、売っておいては逃げ出させて、また商品にしてるのかと疑われる。
海の向こうの、別の娼館に連れていく」
と無情にも頭は言い放った。
ええーっ?
というアローナを小脇に抱え、男たちは街を出て砂漠をひた走る。
そこからあっという間に海に出て、船で渡っていたが、嵐に巻き込まれ、船は人気のない何処かの島にたどり着いてしまった。
「ちょ、ちょっと自分を見つめ直したいって呟いただけなのに……」
何故、こんなことに……、と思うアローナの横で、頭は、
「くそっ。
おかしな娘を拾ったせいで、こんなことにっ」
と悔しがる。
「こんな娘を乗せていたから、海の神の怒りに触れたに違いないっ」
いやいやいやっ。
あなた方が勝手に連れ去ったんですよね~っ!?
と思うアローナの横で、頭が言う。
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