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「何処へ行く、娘。
まだなにも終わってないぞ」
いや、なにもはじまらなくて結構です。
はじめ方もわかりませんしね、とアローナは思っていたが。
貢ぎ物の娼婦だと思われている自分の命など、簡単に散らされてしまいそうなので、ピタリと止まる。
こちらを窺っていた騎士が小声でジンに言うのが聞こえてきた。
「ジン様、あの娘は危険です。
アハト様が送り込んできたんですよ。
刺客かもしれません」
「アハトは莫迦ではない。
私を殺したところで、今更、父が王に戻ることなど不可能だとわかっているだろう」
「誰か他のアハト様に都合のいい王候補を担ぎ出すつもりかもしれないじゃないですか」
「アハトに都合の良さそうな人物など、今、いないだろう。
だが、まあ。
警戒しておく方がよいか」
とジンが油断のない目でこちらを見る。
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