砂漠の外れの娼館

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 少女たちが上へ上がっていったようだったので、アハトは吹き抜けになっている玄関ホールから上の階を見上げた。  五階建てのこの建物の、三階辺りの廊下から、こちらを見下ろしている娘がいる。  娘は真っ白の薄布を重ねたような異国風のドレスを着ているようだった。  身体にまとわりつくようなその薄布を腰と胸元の銀の飾りで留めることで、ドレスに仕立ててあるようだ。  視力のいいアハトには、娘の顔立ちだけでなく、額の中央に垂れ下がるアクセサリーも見えた。  涙型の空色の宝石だ。  美しい娘だ、とアハトは思った。  農家の貧しい娘が売られてきたり。  豊かな暮らしに憧れ、自らこの娼館を尋ねる娘もあるようだったが。  そんな娘たちは此処へ来た当初は髪も肌も日焼けしていて、すぐに店に出せる感じではない。  そのような自然な感じを好むものもいるようだが。  今回は、そういう娘では駄目だった。
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