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「……アローナ!」
と感激しかけたジンだったが、すぐに冷静になったように、
「いや、本当にそんな事態になったら、お前、あっさり俺を置いて、娼館に行って。
なんかすごい事業を成し遂げて大成功しそうなんだが。
その煽りを受けて、滅びゆくメディフィスが見える……」
とロクでもないことを言う。
だが、
「娼館のお話なら、もう断りましたよ」
と言ってアローナは笑った。
アリアナに、どんなことになっても、ジンといる、と言うと、
「そうかい」
と言ったあとで、アリアナはキセルから、ぷはーと煙を吐き出し、いつものように突き放したような口調で、
「お前の方が私より強いね」
と言った。
自分の夫が他の妻を娶るのに耐えられずに城を出て行ったなんて。
アリアナ様は、ほんとうにその王様が好きだったんだろうな~。
……そこから、どう紆余曲折あったら、あんなにがめつくなるのかわからないけど、と苦笑いするアローナの横で、ジンが言う。
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