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「何故だろうな。
刺客かもしれないのに。
お前を手放す気にならぬのは」
そう囁きながら、ジンは頬にかかっていたアローナの髪をその長い指先で持ち上げ、耳にかけてくれる。
そのまま軽く頬に口づけてきた。
戸惑いながらジンを見ると、
「……本当にお前は、なにも知らない生娘のように見えるな。
今宵は、このまま寝るがよい」
そう言って、ジンは恥ずかしそうに立ち上がる。
なんですか、その感じ。
まるで私を大事にしてくださってるみたいに見えてしまうんですがっ。
で、でもこれ、浮気ですよっ。
私に対する浮気ですよっ。
こんな貢ぎ物の私に入れあげて、私を形ばかりの妻にしようとかっ、
と照れたようなジンの顔に動揺し、アローナは混乱してしまう。
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