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うーむ。
外に出たところで、頭突きをして逃げるか。
でも、不案内な街だしなー。
逃げたところで、此処より恐ろしいところに迷い込んでしまうかもしれないし。
っていうか、そもそも、このおじさんが私でいいと言うかもわからないしなー、と思っていたのだが。
そのローブの男は、アローナを見て、感心したように、ほう、と言う。
「近くで見ても美しいではないか。
たまに、お前たちが選ぶ衣装が素晴らしすぎて、それに惑わされているだけのときもあるが。
こうして、間近でじっくり見ても、愛らしい美しい瞳をしているな」
……此処の女主人たちが気づいているのかどうかかわからないが。
此処の言葉、書くことはまだあまりできないが。
話したり、聞き取ったりすることは、そこそこできるのだ。
「よし、この娘で。
幾らだ?」
とローブの男が言った瞬間、奥の扉が開いて、漆黒の飾り気のないドレスを着た小柄な老婆が現れた。
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