王は私にたぶらかされたいのでしょうか?

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 慌てて、アローナは二本の指を丸め、指笛を吹く。  すると、すごい勢いで鷹がやってきた。  鷹はアローナの指示で、フェルナンの頭上を掠め、天井にいた刺客に襲いかかる。  うわっ、と声を上げたのは刺客ではなく、フェルナンだった。  頭を押さえ、しゃがみ込んだフェルナンは、 「こらっ、刺客っ」 とアローナを睨んだ。  刺客は上ーっ!  そして、刺客に、こらっ、刺客っとか言ったところで意味ないと思いますがっ、とアローナは思う。  もう~、呑気だな、この人。  王の腹心の部下がこんなことでいいのでしょうかね~、と思ったとき、上からどさりと縛られた人が落ちてきた。  その落ちてきた人の足が立ち上がろうとしたフェルナンの頭にかかと落としを喰らわす。 「ぐ……っ」 とくぐもった声を上げ、フェルナンは倒れた。 「すごい手練(てだ)れだ……」 とたまたま見ていたアハトが、アローナと上から下りてきたシャナを見る。
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