さすがは娼館の女だな

5/9
前へ
/358ページ
次へ
  「姫様っ」 とアローナの従者一行の先頭にいた、若く可愛らしい侍女がアローナに駆け寄る。  玄関ホールで抱き合って再会を喜ぶ二人を見ながら、ジンは、  なんと。  本物のアローナ姫であったのか、と思っていた。  さすが高級娼婦は違う。  まるで深窓の姫のようだと思っていたのだが。  ほんとうに姫だったとは……。 「ご無事でよかったっ、姫様っ。  ほんとうに申し訳ございませんっ。  私が目を離した隙にっ」 とアローナにしがみ付いた侍女が泣き、アローナは微笑んでその背を軽く叩いてやっている。  ほんとうにアローナ姫なのか。  ……だとすると、少し困ったことがあるな、とジンは思っていた。
/358ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1218人が本棚に入れています
本棚に追加