1218人が本棚に入れています
本棚に追加
アローナは一応、父の許に嫁いできている。
実質権力を失ってはいるのだが。
大丈夫だろうか。
アローナが要るとか言い出さないだろうか。
アローナが父に、ではなく、『メディフィスの王』に嫁いできたというのなら問題はないのだが。
「姫を保護していただきありがとうございます」
とその侍女は城のみんなに頭を下げたあとで、
「で、この方は?」
とこちらを見て、アローナに問う。
「あ、メディフィスの新しい王様、ジン様よ」
そうアローナに教えられた侍女は、
「そうですか。
この方が今のメディフィスの王……」
とアローナに向けていたのとはまったく違う、鋭い瞳でこちらを見る。
その辺の間者より油断ならない顔つきに、ビクリとしたとき、
「お見受けしたところ、いささか頼りないような雰囲気ですが、大丈夫ですか?」
と侍女は突然、アローナに向かい、言い放った。
侍女、毒舌っ!
とフェルナンと二人、衝撃を受ける。
最初のコメントを投稿しよう!