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「この娘を連れて帰ったあとで、また馬車を此処に寄越しな。
金で満杯にしてね」
この老婆がこの娼館の女主人だ。
とは言っても、此処にさらわれてきたとき、値踏みされたくらいの関係でしかないので、どんな人なのか、よくわからないが。
「いいだろう」
とローブの男は言った。
あーあ。
買われてしまったようだ、とアローナは落胆する。
まあ、どのみち、父親より年上の男に嫁がされるところだったから。
どっちでも同じかなー、と思わないでもなかったが。
なかったが……。
でも、この状況、よくはないな、と思っている間に、外に止まっていた馬車へと急かされる。
アローナは見送りに出た女主人たちに、一応、頭を下げ、馬車に乗った。
馬車ではそのローブの男、アハトと向かい合って座るように指示される。
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